代表取締役社長CEO
「人と技術の無限の可能性で、ソーシャルグッドを楽しむ。」をパーパスに、「誰もが可能性を感じ合える社会へ」を信じ、障がい者支援や地方創生に取り組む。
代表取締役社長CEO
「人と技術の無限の可能性で、ソーシャルグッドを楽しむ。」をパーパスに、「誰もが可能性を感じ合える社会へ」を信じ、障がい者支援や地方創生に取り組む。
サンクスラボは「人と技術の無限の可能性で、ソーシャルグッドを楽しむ。」というパーパスの元、主にIT/インターネットの活用を強みとする障がい福祉事業を展開しています。
障がい福祉事業では、今後デジタル社会がますます進展していくことを前提に、障がい者の方にパソコンおよびスマートフォン、タブレット等を使った職業訓練を行います。そのうえで、障がい者の方が身に付けたスキルを求める企業とのマッチングを支援し、障がい者の方の活躍を後押ししています。また、本事業では、IT技術の活用により、地方に居住しながら都市部の仕事に対応できる環境を作るという「地方創生のエコシステム」の構築にも重点を置いています。なかでも「サテライトラボ(以下、サテラボ)」は、地方に居住する障がい者と都市部における業務ニーズを結ぶサテライトオフィス型障がい者雇用サービスであり、福祉事業における象徴的なサービスです。
サンクスラボは、自社開発したネットゲーム事業を長く展開していました。ネットゲームを楽しんでくれる人のなかには、障がい者の方も多くおり、ゲームの世界で活躍して人に貢献することで、自己肯定感を上昇させていました。このようなネットゲームのなかにおけるコミュニケーションを目の当たりにし、障がい者の方に対して、「私たちらしい支援ができるのではないか?」と考えたことをきっかけに、テクノロジー活用を強みとした、障がい者支援事業を沖縄で立ち上げました。
私たちがこれまで提供してきたネットゲームの多くは、「戦いに勝つこと」だけではなく、「互いに高め合い、助け合い、感謝し合うことを目的にした世界を作りたい」という発想から生まれたものです。このような考え方は社内にも活きており、サンクスラボの社員は、仕事を通じて助け合い、感謝し合う関係性を大切にしています。これまでの歩みを振り返ると、「みんなが幸せになれるコミュニティを創りたい」という思いは常に変わっていないと感じます。
サンクスラボのパーパスは「人と技術の無限の可能性で、ソーシャルグッドを楽しむ。」です。
まず前半には、「人の可能性、技術の可能性を信じる」という思いが込められています。サンクスラボが支援している障がい者の方も含め、人をどのように捉えるかで、その人の可能性は大きく変わります。一方的に「助けるべき人」と決めつけるのではなく、適切な工夫を凝らしたうえで「共に価値を創ることができる人」と捉えることで、人が持っている可能性を引き出せるのです。
そのためには、技術の可能性を活用することが大きな力になると思っています。世の中には、今日こそ当たり前に享受されているものの、あるときまでは不可能とされていたことが沢山あります。このような古い世界を変えたのは、先人たちの挑戦であり、その過程で生まれた失敗と成功です。私は「世界は変えられる」と信じています。そのため、私たちは、先端テクノロジーや人の可能性に真摯に向き合い、その無限の力を引き出すための挑戦を続けているのです。
そして、後半の「ソーシャルグッド」とは、社会や地球に良い影響を与える活動を示しています。私たちはソーシャルグッドにこだわった取り組みを実践し、実践のプロセスを私たち自身が十二分に楽しんでいきたいと考えています。なぜなら、自らが社会や地球に良い影響を与えられたと感じることが喜びにつながり、そのプロセスに歯を食いしばって耐えるのではなく、楽しむことで幸福を実感できるためです。さらに、このような幸福は、周囲に伝播していきます。
大切なのは、関わる全ての人が幸せになる仕組みを創ることです。障がい福祉領域でいえば、当事者であるタレントさん(障がい者の方。以下タレントさん)、サポートするご家族、雇用する企業が幸せになる仕組みを創ることです。例えば、タレントさんの収入は一般的に低く、家族や行政の支えなしで生きていくのが難しいのが現状です。これに対して私たちは、社会保障費を財源とする福祉就労の形で働き続けるのではなく、民間企業による雇用にスムーズに繋げるサテラボという仕組みを創り出しました。現在、障がい者雇用枠においても自立して生活できる人が生まれる、という大きな成功が見えてきています。
もちろん収入を全てにおける尺度にすることが良いわけではないと考えていますが、公共福祉の形での就労ではなく、障がい者の方が民間企業から賃金を受け取って自立できるという状況は画期的なものだと思います。支援を受けるタレントさんには「自分が仕事をして貢献している」という喜びがあり、企業も適切な人的リソースを得られるためです。そして、タレントさんを支える家族に対しても金銭的および時間的に大きなインパクトを与えることができます。誰かが無理をする仕組みは継続できません。このように、関わる全ての人が幸せになる仕組みを創ることが、ソーシャルグッドの条件だと考えています。
この考え方は、私たちが実現するあらゆる仕組みで意識されています。例えば、サンゴ保全事業は、社会貢献活動を通じた障がい者雇用のモデルケースとして立ち上げたものですが、海洋保全、障がい者雇用、社会貢献活動をしたい企業のニーズを叶えることをはじめとして、関わる全ての人が幸せになるという点を意識しています。さらに言えば、このカーボンオフセットをはじめとする環境課題解決の領域は、10年先もビジネスを展開できる余地が十分に残っている領域だと考えています。このような領域で挑戦することにより、障がい者の方が活躍できる場を長期的な視点で創っていけるのです。私たちは、このようなモデルケースを創出し、社会に拡げていきたいと考えています。
その背景には、私がコミュニティを作る際の根源にある「みんなを笑顔にしたい、仲良くやってほしい」という単純な欲求があり、また、日本というコミュニティに対する思いもあるように感じています。
先述したように、障がい者の方の自立は、本人や周囲の人にとって喜ばしいだけでなく、社会保障給付の金額の低下および税収の増加という観点で国にとっても良いことなのです。さらに、サテライトオフィスを活用して東京の仕事を地方に移転することで、国内のGDPの移転にもつながっています。
私は海外で起業した経験もあり、東南アジアが発展していく最中(さなか)における変化と勢いを目の当たりにしました。また、2000年代にまだ発展途上だと思っていた韓国が、実はテクノロジーの面で日本を超えているのではないかと感じたこともあります。このように変化の激しい環境に身を置いていると、日本には危機感が足りないのではないかと感じる機会も少なくありませんでした。
生い立ちとしても伝統的な事業家の家庭に生まれたため、革新せずに守りに入ってしまうことの危うさのようなものを肌で感じる体験もありました。そのような危うさを、日本の姿に見ているのかもしれません。このような思いもあり、自分のルーツである日本に貢献したいという気持ちも強いです。
まずは、主に九州沖縄地方で提供している障がい者支援の仕組みを、必要としてくださっている方に向けて全国に広げていきたいと思っています。そのなかで、海外展開も視野に入れて動いていきます。
そして、環境保全のような、ビッグビジネス・ビッグマーケットになる可能性のある領域で挑戦していきます。同時に、クライアントを大企業に拡大していくことも大切です。私たちが提供する仕組みをスタンダードにできれば、サンクスラボにとっても、活躍するタレントさんやご家族、そして日本にとってもメリットがあるはずです。
また、関わる全ての人が幸せになる仕組みを創るという考え方は、障がい福祉領域だけではなく、課題を持つ全ての人に意義のあることだと考えています。そのため、私たちは、多様な課題の解決に取り組んでいるのです。課題の解決というアプローチだけでなく、より理想的な状態を提案していきたいとも考えており、そのために起こすべきイノベーションがあると信じています。このような考えは、以前からネットゲームを通じて実現したかった理想の状態と重なっています。MILU(弊社が提供するネットゲーム)が大切にしている「みんなが互いに高め合い、助け合い、感謝しあうことを目指す世界」というコンセプトが世界に広く受け入れられれば、人々の意識や行動が変わっていくはずです。
特に昨今は、メタバースの技術が発展し、人々がリアルとは異なる世界を生きるようになってきました。このような行動変容が、国や宗教などの概念を超えた、人々の繋がりや平和の実現に一石を投じると信じながら事業を展開しています。
私たちが取り組んでいるのは「社会課題解決」だけでなく、良いものを提案する「ソーシャルグッド」なのです。
そして、この取り組みを体現する必要があるのは、私たちの組織においても同様です。パーパスにおいて「ソーシャルグッドを“楽しむ”」と述べたように、ソーシャルグッドを実現する過程を自らが楽しむことによって、その幸福感が周囲に伝播していくと考えています。人は周囲に良い影響を与えることに喜びを感じるようにできていると信じていますが、そもそも自分達が幸せでなければ、それも難しくなってしまいます。
近年「サステナブル経営」や「ウェルビーイング経営」といった、持続可能な経済成長を企業の目的とするという考え方も広がりつつあります。これらの考え方は、環境に対する持続可能性を意識することでもあり、人を尊重し、社員も幸せであることが経済活動を好循環させるための必須の手段になっていくということも示していると考えていいます。やはり自らも含めて関わる全ての人が幸せであることが、ソーシャルグッドを実現するために必須なのです。
一方、「幸せを感じる」「楽しむ」というのは主体的な行為でもあります。幸せや楽しみが提供される機会を待つのではなく。幸せになり、楽しむ姿勢を自らが持つ必要があるのです。そのためにも、まずはサンクスラボという組織のなかで、お互いの主体性を引き出し、可能性を信じ合える関係性を実現していきたいと思っています。社名のサンクスラボには「感謝の探求」という思いを込めました。感謝というのは、満たされた部分に意識を向けてその「有り難さ」を感じることです。それはつまり、自分が持つ可能性、人の持つ可能性に気づくこと、見つけていくことでもあると思っています。そのようなコミュニティを自らが体現し、社会に広げていく。それがパーパスを実現していった先に掲げたビジョンである「誰もが可能性を感じ合える社会」であり、実現したい社会であると考えています。
サンクスラボ株式会社の代表・村上タクオのインタビューをご紹介します。サンクスラの原点や事業の背景、村上が目指すサンクスラボの未来をお伝えします。
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